「ランクル250」超絶値上げと納期遅延の裏事情 全ユーザーに優しいトヨタであってほしい

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250のZXディーゼルは4気筒2.8リッターターボで735万円だが、300のZXはV型6気筒3.3リッターツインターボで760万円。価格自体は300のほうが25万円高いが、4気筒2.8リッターと6気筒3.3リッターでは、動力性能や静粛性は大幅に違う。

エンジンスペックも、250の2.8リッターは最高出力204馬力(3000~3400回転)、最大トルク51kgm(1600~2800回転)だが、300の3.3リッターターボは、ツインターボの効果もあって、309馬力(4000回転)と71.4kgm(1600~2600回転)を発揮する。

さらに300はランドクルーザーシリーズの最上級車種だから、内外装も豪華で上質だ。動力性能に加えて、各部をていねいに仕上げている。

ランドクルーザー300の運転席まわり(写真:トヨタ自動車)
ランドクルーザー300の運転席まわり(写真:トヨタ自動車)

もちろん250ならではの美点もあり、300のZXディーゼルには装着されない3列目シート、JBLプレミアムサウンドシステム、さらに悪路走行時にスタビライザー(ボディの傾き方を抑える足まわりのパーツ)の制御を切り替えて走破力を高めるSDMなどが標準装着されるが、25万円の価格差なら300の買い得度が勝るといえるだろう。

VXのガソリン車同士では、250が545万円で300は630万円と、85万の違いがある。しかし、250は4気筒2.7リッターで300は3.5リッターツインターボだ。

VXは3つあるうちの中間グレードとなる(写真:トヨタ自動車)
VXは3つあるうちの中間グレードとなる(写真:トヨタ自動車)

250の2.7Lガソリンにはターボが装着されず、最高出力163馬力(5200回転)、最大トルク25.1kgm(3900回転)に留まる。しかもATが6速だから、2240kgの車両重量に対してパワー不足が著しい。推奨しにくいエンジンだ。

そうなると250で選ぶべきエンジンはディーゼルに限られ、一般的な選択はガソリン車と同価格のVXの(630万円)か、ZXは(735万円)となる。250のディーゼルは価格が割高で、買い得度で300に負ける。

値上げを許した原因は「納期遅れ」に?

また最近は、前述の通りランドクルーザーシリーズの人気が総じて高い。生産が受注に追い付かない状況も生じているから、250の価格が割高になっても、販売に大きな支障はないだろう。これも大幅値上げを許した原因と考えられる。

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