1990年代、読売ジャイアンツが発表する観客動員は毎年主催65試合前後で350万人を優に超していた。これはMLBの最多動員のロサンゼルス・ドジャースの主催81試合での325万人を上回っていた。日米野球で来日したMLB関係者の中には東京ドームを見て「そんな馬鹿な数字になるはずないじゃないか」という人もいた。
なぜこんないい加減な入場者数の発表がまかり通っていたのか? それはプロ野球の経営が「親会社恃み」だったからだ。
もともと収支が釣り合うことなど期待していない。有名選手と契約して各地を転戦すれば赤字が出て当たり前。最終的には赤字分を親会社が補填する。
1954年の国税庁通達で、プロ野球球団の赤字を親会社が補填した場合、これを「広告費扱いする」ことになっていたから、親会社の懐もそれほど痛まなかったのだ。
従来のプロ野球経営モデルは限界を迎えていた
しかしそれでも赤字が続けば、球団経営は苦しくなる。2004年に起こった近鉄とオリックスの合併に端を発する「球界再編」は、これまでのプロ野球経営モデルの限界を意味していた。
古田敦也選手会長率いるプロ野球選手会は、「1リーグ10球団」体制になることを阻止するため、ストライキに打って出たが、同時に「球団経営の実態を公開してほしい」と要求した。
このこともあって2004年まで球団の恣意的な発表だった「観客動員数」が、2005年から「実数発表」に統一されたのだ。
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