アップル新型iPadは"AI対応の遅れ"への回答か アプリの新機能から「AI活用」の方向性が見えた

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冒頭で触れた通り、直近では、アップルがグーグルの生成AI技術を利用する方向で交渉しているとの報道もあった。AppleのAI技術開発の遅れを象徴する出来事のようにとらえられているが、少しばかり筆者の見立ては異なる。

例えば初期のiPhoneに内蔵されていた地図アプリは、グーグルから提供を受けていた。 世界中で日々更新される地図データを端末内に収めることは現実的ではない。アップルはユーザーとの接点として、iPhone上にアプリを提供しつつ、データのみグーグルから調達した。ウェブからもアクセスは可能だが、アプリを通すことでより高い利便性を得られるからだ。

グーグルとの提携報道が意味すること

おそらく生成AIに関しても同じだ。

端末の魅力を高める直接的な機能に関わる要素に関しては、Appleは前述したように端末内で物事が完結するよう開発を進めている。プライバシーが重要となるデータに関してはなおさらだ。

ロンドンで開かれた製品発表会の会場の様子
ロンドンの製品発表会の会場風景。6月には、アメリカ本社でソフトウェア開発者向けイベントが開かれる(筆者撮影)

一方で生成AIは地図アプリと同様に、データ規模が大きく、更新頻度も高い。だからこそクラウド上での提供に適したサービスなのだが、こうしたクラウドを通じた機能をアップルの本業であるデバイスの価値向上に転換できるとしたならば、端末からよりシンプルに生成AIサービスに接続し、使いやすくするというアプローチのほうが合理的だ。

アップルは6月にソフトウェア開発者向けイベント「WWDC 2024」を本社キャンパス、およびオンラインで開催する。その際には、新しいNeural Engineを基準とした新たな提案が飛び出すかもしれない。グーグルとの提携が本当にあるのであれば、この時点で何らかの発表があるだろう。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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