生成AIブームの中でアップルが出した「答え」 例年以上に大注目のWWDCで明かされた真実

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
基調講演のパブリックビューイング会場にて、招待メディアに挨拶するアップルのティム・クックCEO(筆者撮影)

生成AIの時代においてアップルは、新たなテクノロジーイノベーションの波に乗り遅れたーー。そうした声は、OpenAIとマイクロソフト、それにグーグルが生成AIの覇権を争う中で少しずつ強まっていた。

この見方はアップル自身が「われわれはこれまで(AIという言葉は使ってこなかったが)デバイス内のAI処理においてリーダーシップを発揮してきた」とするステートメントを披露するたびに、その意図とは逆に“王者の焦り”のように捉えられる側面もあった。

ライバルを追い抜くための「立ち位置」を確保

しかしアップルが開発者向け会議「WWDC 2024」で披露したAI機能「Apple Intelligence」は、そうした声を払拭するだけではなく、生成AIの時代で先端を走っている企業に追いつき、ある側面では追い抜くための立ち位置を確保したように見える。

Apple Intelligence、略してAIというわけだ。(筆者撮影)

少なくともクラウドへの依存度が極めて高く(消費者向け/企業向け問わず)、個人向けに高性能なAIモデルをフリーミアムで提供できない企業に対しては強みを見せた。大規模言語モデル「Gemini 1.5」の性能が評判のグーグルだが、アップルの展開を受け、事業モデルに関して根本的な練り直しが必要になるかもしれない。

アップルは、同社が持っている独自性と強み(GAFAMなどと呼ばれる中で唯一、高級ハードウェアを事業の中心に据えていること)を活かし、ライバルが追従することが難しいパーソナルな情報を扱う端末の中に、プライバシーを保証する生成AIシステムを統合した。そうすることで、AIトレンドを同社の新しい強みとして組み込もうとしている。

つまり、「弱み」だと見られていた生成AIトレンドを、自らの「強み」に変換したのだ。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事