子どもが「オンラインいじめ」にあったらどうする 匿名アカウントを使ったいじめは発覚しにくい

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また、だれかに何かの行動をやらせる、あるいはやめさせるということも、想像以上にむずかしいものです。

とくに、人数がふえてくると余計むずかしくなります。いじめの指導というのは、ふつうクラス全体、学校全体など大人数に対しておこなわれます。人が多くなればなるほど、人間は「自分がやらなくてもほかの人がやるからいいや」「自分には関係ないや」という心理が働きます。

これを「傍観者効果」とよびますが、たとえば目の前にこまっている人がいたとき、自分一人しかいないときは助けても、たくさん人がいるときはだれも助けないということが起こります。

こういった心理的な原因が重なって、いじめが起こってしまうことがあります。たとえば「自分はいじめているわけではない」と、都合よく「自分には当てはまらない」と考えてしまう「正常性バイアス」という心理も働きます。

自分だけはばれない?

あるいは「楽観性バイアス」といって「自分だけはバレない、大丈夫」と、ゆがんだものの見方をしてしまう傾向もあります。

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さらにネットの場合、先生や親の目がとどきにくいところでできるので、つい行動に出てしまうということもあるでしょう。

このように、もともと人間が持っている心理的な働きによっていじめが起こるわけですから、残念ながら多少の指導や注意でどうにかできるものではないのです。

もちろん、だからと言って、いじめを放置しておいていいことにはなりません。素人でも、専門家の力を借りながらできることはあります。各種SNSでは、自分の投稿を見ることができる人やコメントできる人、友だち申請ができる人を制限したり、いじめの報告をしたりすることで対処する仕組みを用意しています。

それらを利用したり、親や先生の手を借りて法律やネットの専門家に相談したりして、対処法を実践していくようにしましょう。 

堀田 秀吾 明治大学教授

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ほった しゅうご / Syugo Hotta

言語学博士。熊本県生まれ。シカゴ大学博士課程修了。ヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程修了。言葉とコミュニケーションをテーマに、言語学、法学、社会心理学、脳科学などのさまざまな分野を融合した研究を展開。熱血指導と画期的な授業スタイルが支持され、「明治一受けたい授業」にも選出される。研究の一方で「学びとエンターテインメントの融合」をライフワークとし、研究活動において得られた知見を活かして、一般書・ビジネス書等を多数執筆、テレビ番組にも出演する等、多岐にわたる活動を展開している。

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