「爆破予告者」の犯人像と日常生活における注意点 いたずらでは終わらず甚大被害を及ぼすケースも
本調査研究は今から15年前のものであり、現在と社会情勢やSNSの普及など犯行予告に使用できるツールの違いも大きいことから、あくまで参考にとどまるが、本研究が示す傾向は興味深い。
そこで、筆者が、公開情報に基づき最近5年間(2020年~2024年5月現在)における電子ツール(SNS、ネット掲示板、HP問い合わせフォーム への連絡、電子メール、インターネットFAX送信サービス)を利用した爆破予告の検挙事例19件を確認したところ、前述の傾向を示す類似の内容が確認できた。
・犯人の年代は、20代以下が84%を占める
・ 全て「憂さ晴らし」「いたずら」「逆恨み」の動機によ
・ 犯人と犯行予告対象との関係について、84%が関係なし
なお、参考ではあるが、同期間で電話・手紙を使用した爆破予告は15件確認でき、その内容は以下の通り。
・20代以下の犯行は13%、13件は全て30代~60代であった。
・「憂さ晴らし」「いたずら」「逆恨み」の動機によるものであるが、具体的な対象への「恨み」が散見された
・犯人と犯行予告対象との関係について、73%が関係なし
犯罪意識の欠如と爆破予告の手軽さ
ネットが普及する前の犯行予告は、電話や手紙による手法が一般的で、 “足がつきやすい ”ため、その犯罪意識に一定程度の強度があったわけだが、ネットの普及に伴い、掲示板やメール、SNSなど“気軽”に犯行予告が行えてしまう土壌が生まれた。
その気軽さが犯罪意識の低さを生み出し、犯行予告を増長させている可能性もある。犯行を行った者の中には、ただの“いたずら”を主とした動機も散見され、中には小中学生による犯行も散見される。
その“犯罪意識の欠如”と“犯行予告の手軽さ”という土壌が犯行予告を容易にしてしまっている環境も問題であろう。
また、株式会社Specteeが2020年10月に発表したレポート「【SNS分析】爆破予告の急増について」によれば、2019年10月1日から2020年9月30日までの1年間で爆破予告を覚知した件数は176件。うち、コロナ禍が本格化した2020年6月頃から爆破予告が急増、コロナ禍のストレスが爆破予告の増加に影響している可能性があるという。
爆破予告対象として最も多かったのは「教育機関」で、総件数85件のうち、実に69%を占める59件が「大学」を対象としたものであった。このように、環境が与えるストレスも爆破予告を行う動機となっていると言えよう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら