ビッグモーター再建のカギは伊藤忠エネの現場力 第一陣として「精鋭部隊」の約40人を送り込む

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新会社はビッグモーター元社長の兼重宏行氏ら創業家とは決別する。伊藤忠側は2月下旬頃に創業家側と交渉し、一定の譲歩を引き出したとみられる。

「出資金の一部は債務の返済原資として旧会社に渡るが、創業家にはお金が渡るどころか、むしろそれなりの責任を取ってもらう」。ウィーカーズの合六(ごうろく)渉経営企画部長は会見でそう強調した。

ビッグモーター元社長の兼重宏行氏
ビッグモーター創業者の兼重宏行氏は2023年7月に会見で社長辞任を表明して経営から退いた(撮影:今井康一)

実質的に創業家が持つ旧ビッグモーター株はJWPファンド傘下の特別目的会社に譲渡され、債務返済や訴訟対応には存続会社(BALM)があたる。存続会社にはビッグモーターの和泉伸二社長がそのまま残る。

末端にまで意識改革を浸透できるか

中古車販売業界ではビッグモーターに限らず、不祥事が相次いだ。2023年8月にはグッドスピードで保険金の過大請求が発覚。業界2位のネクステージでも保険契約の捏造などが明るみに出た。

強引な営業、パワハラの横行――。全国消費生活情報ネットワークシステムでは「中古自動車」に関する消費者からの相談が2021年度は7237件、2022年度は7137件と、毎年7000件を超える数となっている。

同業者からは「業界が受けたネガティブな影響が、伊藤忠によってプラスに転じる可能性が高い」との声があがる。こうした声を意識してか、ウィーカーズの田中社長は「中古車業界が信頼を取り戻すため、われわれが率先して(顧客に)徹底的に誠実になり、事業の透明性を追求する」と会見で語った。

しかし、別の業界関係者は「ビッグモーターでは兼重氏から和泉氏へと社長が代わっても不祥事は起きている。経営体制が変わったからと言って、すぐに従業員の意識は変わらない。伊藤忠がどこまで末端にまで意識改革を浸透させることができるのか。一朝一夕にはいかないだろう」と話す。

「家族や友達に自分の仕事について胸を張って語れるようになろう」と社員に呼び掛けたという田中社長。売上シェアで業界ナンバー1を誇ったビッグモーターは、新会社となってその輝きを取り戻すことができるのか。再建までの道のりは、長く険しい。

森 創一郎 東洋経済 記者

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もり そういちろう / Soichiro Mori

1972年東京生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科修了。出版社、雑誌社、フリー記者を経て2006年から北海道放送記者。2020年7月から東洋経済記者。

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