――WECARSが発足して約半年が経ちました。想定と実情の乖離はありましたか。
だいたい思っていたとおりだ。むしろ、想定よりもよかったという印象の方が強い。社員を見ても悪い人はいないし、純粋で一生懸命に仕事をしている人がほとんどだ。悪事を働いていた人はすでに去っている。
ビッグモーターで問題が起こった原因は、人事や給与、コンプライアンス、教育などのいろいろな面でシステムがまるでなかったからだ。同社の制度は社員に優しくなかった。社員を大切にしていない制度だから、問題が起きた時に「現場で解決せよ」と求める。本部が寄り添わなかったので、現場が適当な処理をしてしまうという事態が起きていた。
“コンプライアンス“を知らない社員もいた
――コンプライアンス意識をどのように組織に浸透させていますか。
ビッグモーターからやって来た社員の中には、“コンプライアンス”という言葉さえも知らない人たちがいた。なので、WECARSでは「コンプライアンスとはこういうことだよ」というのを勉強するための研修ビデオをほぼ毎週観させている。
内容はパワハラやセクハラ、下請法、情報漏洩などさまざまなジャンルだ。初歩的ではあるが、連続ドラマ仕立てで結構面白い。
ただ、ビデオだけでは一方的なインプットばかりになってしまうし、いつまでもこればかりやり続けるわけにもいかない。店舗によって雰囲気やカルチャーが多少違うので、最終的には店舗ごとにPDCAサイクルを回さなければいけない。
今すぐにそれをやろうとしてもできないと思うので、基本的には伊藤忠グループからコンプライアンスが身についている人員を10名送って監査部門を増強する。彼らが店舗を回って並走することで、今までの一方的な教育ではなく、現場に寄り添った教育ができる。
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