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伊藤忠「第8カンパニー」幹部が語る次のステージ ファミマに加えて旅行業やスポーツなどを構想

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顧客視点で商品やサービスをつくるマーケットインの発想を実践しているのが「第8カンパニー」だ。幹部2人の話から現在地が見えてきた。

伊藤忠第8カンパニー
伊藤忠商事「第8カンパニー」の中元寛・執行役員ゼネラルマネージャー(左)と岡徹・経営企画室長(撮影:今井康一)

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横串を通すビジネスの実現を目指し、伊藤忠商事で「第8カンパニー」が発足したのは2019年のことだった。それから5年。第8が現在所管する主要事業会社はコンビニのファミリーマートだ。2020年のTOB(株式公開買い付け)で伊藤忠はファミマを実質完全子会社とした。
ファミマでの取り組みを通じて見えてきた新ビジネスとは。執行役員である中元寛・第8カンパニーゼネラルマネージャーと岡徹・第8経営企画室長の2人に聞いた。
【インタビューでの主な質問】
Q 第8の使命である「横串を通すビジネス」は実現できましたか?
Q 第8のゼネラルマネージャーはどのような構想を練っているのでしょうか?
Q 三菱商事とローソン、伊藤忠とファミマ。それぞれの関係は対照的では?

――第8カンパニーの発足から5年。発足時に300億円程度の純利益を稼ぐと表明していたのが、2023年度の実績は358億円となりました。

中元 第8が発足して以来取り組んできたことが形になってきたのは事実。だが今後も新しい収入を生み出していかなければならない。

ファミリーマートの強みは全国に1万6000もの店舗網があり1日1500万人のお客さんが来店していることにある。そのお客さんにまだ提供できていないサービスは何か。そういう発想から、いろんな情報を発信していく広告メディア事業の実証をファミマと一緒に繰り返してきた。

ファミマの顧客の購買データとNTTドコモが持つ会員の嗜好性データを組み合わせて広告に生かしていく基盤を作りたいと考え、データ・ワンという会社を2020年につくった。そのころからデジタルサイネージの実験を始め、2021年に事業化した。

サイネージを運営するゲート・ワン(ファミマの子会社)を含めて2年ほどで黒字化を達成し、先行コストをすでに回収している。これからどうやって事業の収益を拡大していくか、チャレンジしているところだ。手応えも出てきている。

偶発的に接触できるメディアに

――伊藤忠といえば、岡藤正広会長が打ち出した「か(稼ぐ)」「け(削る)」「ふ(防ぐ)」という商売の3原則です。「け」や「ふ」についてはどうでしょうか。

中元 コンビニの現状を考えると効率化は必要だ。従前、約2000人のスーパーバイザーがお店を回りながらオーナーや店長に新商品や売り場づくりの提案を行ってきた。ただ、これはデジタルでできるところもある。

そこで人型AIの「レイチェル」や「アキラ」をつくって、お店に対する指導、施策の提案を徹底している。構想から1年以上をかけて2020年から試験導入しているが、それがようやく形になってきた。

――中元さんは、リテールメディアの「偶発性」を重視しています。どういう意味ですか?

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