「ビッグモーターの不正は論外だ。クリーンな事業者までイメージが悪くなってしまう。いい迷惑だ」ある大手中古車販売会社の幹部は、怒気を含んだ声で言い放った。
中古車販売最大手ビッグモーターの不正問題が連日取り沙汰されている。鈑金・塗装(BP)部門でゴルフボールを入れた靴下を振り回して車体に傷を作るなどし、水増しした修理費に基づいて保険金を不正請求していた。
7月25日に開かれた記者会見では、創業者の兼重宏行社長(7月26日付で退任)がした「経営陣は関与していない」「従業員の刑事告訴も考えている(会見後半で取り下げ)」といった発言も話題になった。
中古車業界関係者にビッグモーター問題への感想を聞いて回った。不正を驚く声はなく、「昔から悪い噂を聞いていた」「ここ数年、業績が大きく拡大していたので、現場は相当な無理をしていたはずだ」と起こるべくして起きたといった声も少なくない。
業界他社の業績へのインパクトは
ビッグモーターはここ数年、急激な成長を遂げていた。帝国データバンクの調査によると、2022年9月期の売上高は約5800億円(推定値)で、ここ9年でおよそ8倍に成長。中古車販売市場でのシェアは約15%のトップと見られ、中古車の買い取り台数でも「6年連続日本一」(同社ホームページ)とうたっている。
その最大手の不祥事が連日取り上げられる事態に、「中古車業界全体のイメージが傷ついてしまった」との嘆く声は多い。各社に業績への影響を尋ねると、ネガティブとポジティブの両方の見方が混在する。
中古車の買い取り・販売業者では、短期的には「消費者の間で購入を様子見する動きが出てくるだろう」とのネガティブな見方が有力だ。冒頭の中古車販売大手の幹部は、「今は中古車業界全体に対するマイナスイメージがあるので、消費者は状況を見るために購入をいったん控えるだろう」と分析する。
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