国内の新車販売台数が縮小する中で重要視されるのが中古車ビジネスだ。しかし、2023年にはビッグモーター事件をきっかけに業界内での不正が相次いで発覚した。ビジネスの発展のためには信頼を取り戻す必要がある。
利幅が限られる新車ビジネスに対し、買い取り、販売のやり方次第で高い利益を出せるのが中古車ビジネスだ。新車販売店は新車販売を補う収益源として力を入れ、中古車専門店も全国展開する大手が育ってきた。しかし、昨夏には中古車販売最大手の「ビッグモーター」で修理に伴う保険金水増し請求が大きな社会問題となった。他の中古車業者でも不正が明らかになり、業界全体に厳しい視線が向けられている。本特集の9回目は、業界団体である日本中古自動車販売協会連合会(以下中販連)の海津博会長に、中古車ビジネスの先行きと信頼回復に向けた取り組みについて聞いた。
――国内新車販売台数はピークの1990年からおよそ30年で300万台減少しました。新車販売がさらに縮小していけば中古車も影響は免れません。
人口が減れば新車販売台数が減り、新車が減れば中古車の流通台数も減っていく。運転免許を返納する方も増えているし、市場のパイは広がらない。そうしたことを考えると、将来的には中古車ビジネスそのものが厳しくなっていくのだろう。ただ、こうした事態が明日起こるかと言われるとそうではない。
地方の経済や交通事情を考えると、自動車がないと生活が成り立たない場所はたくさんある。マイカーがなければ通勤通学、買い物もできない、病院にも行けない。今の日本はそんな状態なので、中古車の需要はなくならない。
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