
「前提条件が大きく変わっている。トヨタ系でも今後は生き残りに向けた戦いになるだろう」。中部地方のトヨタ自動車系販売会社の首脳は危機感を隠さない。
国内市場が縮小する中でも盤石の強さを誇るトヨタ。販売台数こそ1990年の250万台から約100万台落としたものの、2010年以降は東日本大震災(2011年)や半導体不足(2022年)といった特殊な年を除いて150万台前後を維持。国内シェアは約30%をキープする。
その強さ故か、国内販社の再編は他社に比べても進んでいなかった。だが、ここ5年ほどで急速に加速している。契機となったのが2020年5月の「全車種併売化」への移行だ。
それ以前のトヨタは国内4チャネル制を敷いていた。「クラウン」「ランドクルーザー」を扱うトヨタ店、「ハリアー」「アルファード」を扱うトヨペット店といった具合に、チャネルごとに専売車種が定められていた。かつて日産自動車やホンダ、マツダも、こうしたチャネル制を採用していたが、2000年代にはおおむね消え去っていた。
「プリウス」や「アクア」のような共通で扱う車種が徐々に増加していたとはいえ、トヨタだけがチャネル制を守り続けていた。しかし、併売化を機に販社はトヨタブランド全車種を販売できるようになった(「レクサス」はレクサス店の専売)。「市場縮小の中ではチャネル制はやめるしかない。アメリカでも同様の動きが起きた。トヨタがそうなるのも自然の流れだ」と日産系販売会社首脳は指摘する。
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