国内の新車販売はピークから30年で300万台減少。この先約10年でさらに100万台減るとの業界予測も出る。メーカー各社、販売会社はどのように対応するのか。
「らしさ」を車づくりだけでなく販売でも
――加藤社長が訴える「三菱自動車らしさ」とは何でしょうか。
何か新しいものを定義したわけではない。そもそも「らしさ」は社員1人1人で違う。とはいえ、ラリーやオフロードからつながる「力強さ」や「堅牢さ」は代表的なものだと思う。
現在、社内でも開発や販売、企画など現場の人間が議論をしている。個人的には三菱自らしい車と言えば、1トンピックアップトラックの「トライトン」だと思っている。オフロードでも、仕事でも使えるタフさがある。
一方、世界初の量産EV(電気自動車)である「i-MiEV(アイ・ミーブ)」の流れから、電動車の血統を受け継ぐPHV(プラグインハイブリッド車)「アウトランダーPHEV」が三菱自らしいという声もある。アウトドアを楽しむのであれば「デリカD:5」という世界観もある。これらは顧客1人1人が持っているもので、すべて「三菱自らしさ」になる。
また、「らしさ」はクルマづくりだけでなく、高付加価値な販売にもつながる。例えば、軽自動車でも車種によっては250万円程度で販売しており、軽だから儲からないというわけではない。他社と同じ車をつくって値引き競争で受注を取るのではなく、競合環境が厳しくないステージでしっかりいい車をつくり、高い価格で売っていく。ものづくりでも販売でもこだわる意識を持ちたい。
――国内販売事業の現状をどのように評価していますか。
2024年3月期は11万台だったが、今後さらに伸ばしていきたい。昨年5月に投入した軽の「デリカミニ」は、ファミリー層だけでなくこれまでアプローチできていなかった若年層など新規顧客を開拓できている。正規販売店だけでなく、地方のサブディーラーや業販店からも引き合いが多く、発売から1年以上経っても受注は好調で前年実績を上回っている。
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