法令違反の新たな発覚も懸念されるビッグモーターだけに、慎重な資産査定が続く。

年明けから精力的に報道各社の取材に応じた岡藤会長は、改めてビッグモーター再建に意欲を示した。他社が忌避した難しい案件に伊藤忠はどう対峙するのか(撮影:梅谷秀司)
中古車販売大手ビッグモーターの保険金不正請求問題に大手損害保険会社によるカルテル問題が加わり、大揺れの損保業界。
『週刊東洋経済』1月27日号の第1特集は「損害保険の闇」。長年、不正に手を染め続けた業界内部の底知れぬ闇とその実態に迫った。
![週刊東洋経済 2024年1/27特大号(損害保険の闇)[雑誌]](https://m.media-amazon.com/images/I/51QUZVVkXEL._SL500_.jpg)
『週刊東洋経済 2024年1/27特大号(損害保険の闇)[雑誌]』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。定期購読の申し込みはこちら
「伊藤忠は取りあえず手を挙げて、倒産後に何かしらの資産を買い取ろうとしているだけではないか。本気で再生を考えているなら、狂気の沙汰だ」
2023年11月17日、伊藤忠商事が中古車販売大手ビッグモーター買収に向けて資産査定を開始することを発表した直後、金融関係者は驚きを隠さなかった。
自動車保険金の不正請求を繰り返し、個人顧客への強引な販売行為もるる報じられるビッグモーターを傘下に入れるのは、巨大なレピュテーションリスクを抱え込むことになる。
実際、一連の不正を受け、国土交通省は23年10月に34事業所を道路運送車両法に基づいて事業停止にした。さらに金融庁は同11月、保険業法に基づき同社の保険代理店登録を取り消している。今後、顧客からの訴訟が増加する可能性もある。
再生に強い意欲
ところが、である。昨年12月5日、クリスマスイベントに参加した伊藤忠の岡藤正広会長は、「利益より信用を失うことがないようにしないといけない。だけどやっぱりビッグモーターの5500人の雇用も守ってあげたい」と述べ、ビッグモーター再生に強い意欲を示した。
トピックボードAD
有料会員限定記事