「バナナの食べ方ひとつ」で"疲れた脳"は回復する 動作を「ゆっくり」にすると、人間関係も変わる
近年では心理学的な研究も進められ、セルフ・コンパッションが高い人はさまざまな疾病のリスクが低いこと、そして「幸せである」という感覚が増大することが明らかになっています。
自慈心を理解するため、もう一度、瞑想についておさらいしましょう。
集中するだけが瞑想ではない
瞑想は「今、この瞬間」の感覚に意識を向けることから始めます。
これにより、マインドワンダリングは止まり、私たちの行動を妨げるネガティブな想念もリセットできる。
自然に、心がポジティブになる。
ここまではおわかりいただけたと思います。
しかし、マインドフルネスには、その先があります。
私も会員として所属する日本マインドフルネス学会は、マインドフルネスを次のように定義しています。
「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」
ところで、マインドフルネスの瞑想には、「1つの感覚に注意を集中させる瞑想」の他に、「注意の範囲を自在に広げて、あるがままに観察する瞑想」 もあります。
脳科学的にいえば、前者は、これまで解説してきた「1点に意識を集中させる」瞑想です。
頭のモヤモヤを「止める」瞑想であり、集中瞑想(フォーカスト・アテンション)とも呼ばれます。
後者は、「注意を自分の周囲へとひろげていく」瞑想です。
これは「観察する」瞑想(オープン・モニタリング)ともいわれます。
もとは仏教瞑想の世界でこの2つが区別されてきた背景を有しています。
ブッダが実践した瞑想修行を、そのままの形で伝承してきたとされる上座部仏教(タイやミャンマー、ラオス、スリランカなど南方系の伝統仏教)の世界では、前者をサマタ瞑想、後者をヴィパッサナー瞑想と呼んでいます。