「これって教員の仕事?」疲弊する先生のリアル 終わらない業務、保護者からの無理難題に苦慮

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本来、放課後は翌日の授業準備にあてたい時間だ。子どもが下校するまでは、授業のほか、提出物のチェックやテストの採点などに、息つく暇もなく追い立てられるからだ。

なのに、学校にいる間は作業に追われ、じっくりと教材に向き合えない。

自身が教員になってから、教育の世界にも様々な変化の波が訪れていた。

動画投稿サイトのユーチューブでは、わかりやすい解説をする「教育系ユーチューバー」が登場。コロナ禍でリモート授業が注目され、その人気は一層高まっていた。

いまや学校に行かなくても、勉強する方法はいくらでもある。

それなのに、相変わらず先生が技能を磨く体制は乏しく、そのための時間もない。

「そのうち、学校に来る子がいなくなってしまうのでは」。漠然と感じていた不安は、年々強くなっていた。何より、魅力を感じ、大切にしていた「教える」ことが後回しになってしまっていることに気付いた。

もう限界だった。

後ろ髪をひかれながら民間企業に就職

校長に告げた。当初は何度か、理由を説明するよう求められた。だが、自分の決意が固いとわかると、「またいつでも戻ってこられるから」と理解を示してくれた。

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教え子たちは良い子ばかりで、後ろ髪がひかれる思いはあった。でも、どう考えても、学校という場所に魅力を感じられなくなっていた。

その後、民間教育企業に就職した。AI(人工知能)を使って、子ども一人ひとりに最適な学習を提供する教材づくりを担った。先端技術で学習効率を高めることで、子どもたちの学びを支援する。そんな役割に、やりがいを感じた。

それでも、教室でのやりとりや子どもたちの笑顔が、毎日のように脳裏をよぎる。

「根っからの先生なんやろな、と思います」。学校が本当に子どもたちのために変わった。

そう思える日が来たら、また教壇に立ちたいと思っている。

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