「待遇に満足な社員」が会社を辞めてしまう真因 なぜ互いに「相思相愛」の関係が築けないのか

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

これに対してエンゲージメントは、企業と従業員が共に成長しながら同じ目的に向かっていく「関係性」がベースになった概念です。

従業員満足度が高い場合、従業員は企業にメリットを感じている一方、必ずしも企業に対して貢献意欲があるとは限りません。今の会社より条件が良いなど、メリットが大きい会社があれば、転職する可能性もあります。

それに対して、エンゲージメントが高い場合、従業員は「この企業だからこそ働いている」「この企業をもっと良くしていきたい」というような企業に対する愛着や貢献意欲を持っています。

エンゲージメントの向上を阻む3つの誤解

自社のエンゲージメントを把握するためには、「エンゲージメントサーベイ」などと呼ばれるアンケート調査を行なうことが一般的です。

しかし、ただ調査して終わりでは意味がありません。調査後に、「See(現状分析)」→「Plan(施策立案)」→「Do(施策実行)」という3ステップでエンゲージメントの向上を図っていくことが重要です。この各ステップで生まれる誤解について解説します。

Seeにおける誤解…「従業員の不満を解消すればエンゲージメントは上がる」 

サーベイの結果をもとに「See(現状分析)」をして、従業員の不満や組織の課題を抽出していきます。しかし、従業員の不満を解消するだけで、エンゲージメントが向上するとは限りません。このことは、「ハーズバーグの二要因理論」からも明らかです。

ハーズバーグの二要因理論とは、職場における満足・不満足を引き起こす要因に関する理論で、米国の臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグが提唱したものです。ハーズバーグは、職場において不満足を招く要因を「衛生要因」、満足につながる要因を「動機づけ要因」と定義しました。

【衛生要因】企業の方針と管理方式、監督、賃金、対人関係、作業条件など
【動機づけ要因】達成感、承認、仕事そのもの、責任、成長など

衛生要因の不足は従業員の不満足を招き、動機づけ要因の充足は従業員の満足につながります。

次ページどちらの「要因」が重要なのか?
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事