「相続でモメる人」が知らないトラブル回避の基本 「晩婚」「再婚」の人が陥りがちな落とし穴

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――お久しぶりです。3月末から特別養子縁組でお子さんを迎えたと聞いて驚いています。

2歳7カ月の女の子です。今は2階の自宅でお昼寝をしています。夫婦で児童相談所に3カ月通って、今は養育を委託されている段階です。1年後には晴れて親になれます。私(昌之さん)にはまだ全然懐かないのですが(笑)、とても可愛いです。すべり台やブランコを買って一緒に遊び、少しずつ仲良くなろうと思っています。

――特別養子縁組をすると、実の親になるのと変わらないそうですね。

はい。子どもは実の親との法的な親子関係が解消されるので、その財産の相続もできなくなります。それに対して、普通養子縁組は実親との遺産相続や扶養義務などはそのまま残ります。しかも、相手が年上なら誰とでも何人とでも養子縁組を結べるので、遺産を複数方面からもらうことも可能だったりします。

遺言を必ず書くべき人

――養子縁組は相続のテクニックとしてたまに聞く手法ですが、まずは相続で最もよく耳にする遺言について教えて下さい。

バーテンダーなど様々な職業経験がある昌之さん(画像:尾形文繁)

遺言を必ず書くべき人がいます。それは、前の配偶者との間に子どもがいる人です。若いときに離婚して音信不通だったとしても実子が法的相続人の一人であることに変わりはありません。自分が死亡したときには銀行口座などは凍結され、長年連れ添った配偶者でも独断では相続手続きを進められなくなります。誰と誰が法定相続人なのかを明らかにして遺言を書く必要があるのです。

ところが、前の結婚について家族に隠している人が少なくありません。亡くなって初めて「お母さんは4回も結婚していた」とか「お父さんには他に認知している子どもがいた」事実がわかったりします。見知らぬ人同士ですから、相続人の間での話し合いが難しくなるのは必至です。

遺言がなくて相続でもめた場合、遺産を分けるのも苦労します。たいていの人は預貯金は数百万円ほどで、家族で自宅として使っている不動産の評価額が数千万円だったりするからです。自宅を売らざるをえなくなったりします。

――そんなもめ事を防ぐために遺言が必要なのですね。

その通りです。例えば、長男と次男がいる場合、自宅と土地は一緒に住んでいる長男に譲ると遺言に記すことができます。次男も法定相続分の2分の1を「遺留分」として主張できますが、法定相続分全額を次男から求められるのと比べると、兄の経済的な負担は軽減されます。

ただし、どんなにしっかりとした遺言を作成しても、翌日以降の日付で「やっぱり次男に譲る」とメモ書きで本人が遺したらそちらが有効になってしまいます。自分に有利な遺言を書かせるために年老いた親の拉致合戦をきょうだいがすることも少なくありません。

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