「紅麹問題」"3つの基本、混同してる"人が多すぎだ "添加物のプロ"が明かす「問題の本質」は?

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とはいえ、「紅麹菌」は1000年以上という長い歴史の中で伝統的・経験則的に安全性が担保されています。

「その食品を長く食べてきた」という「歴史の証明」があるわけです。その違いです。

「食品だから安全」でも「添加物だから危険」でもない

「お前は『食品の裏側』の著者のくせに、食品添加物を擁護するのか」というお叱りの声が上がるかもしれません。

私がここで言っているのは「いい」「悪い」の感情論ではなく、「『食品添加物』は公的な安全性のデータがあり、『食品』にはそれがない」という、その事実です。

「ベニコウジ色素」の安全性は、一応は担保されています。厚生労働省に食品添加物として認可されてからこの十数年間で、問題が起こったという話は聞きません。

「食品だから安全」というわけではないし、逆に「添加物だから危険」ということでもないのです。

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当たり前のことですが、口に入れるものは安全性の高いものであることが絶対条件です。

「安全性の担保」は簡単なことではありません

そして、これも当たり前のことですが、膨大な検査の証明、長い歴史の証明が必要です。「自主基準」「わずか数年」で獲得できるとは、私にはとても思えません

そこには「制度の瑕疵」、さらには「安全性の軽視」があったのではないでしょうか。

そのあたりに、この事件の根っこがあるような気がしてならないのです。

次回は「麹菌の管理」というアプローチから、この問題を考えていきたいと思います。

*この記事の続き:小林製薬「紅麹問題」結局、何がマズかったのか?

安部 司 『食品の裏側』著者、一般社団法人 加工食品診断士協会 代表理事

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あべ つかさ / Tsukasa Abe

1951年、福岡県の農家に生まれる。山口大学文理学部化学科を卒業後、総合商社食品課に勤務する。退職後は、海外での食品の開発輸入や、無添加食品等の開発、伝統食品の復活に取り組んでいる。NPO熊本県有機農業研究会JAS判定員、経済産業省水質第一種公害防止管理者を務めつつ、食品製造関係工業所有権(特許)4件を取得。開発した商品は300品目以上。

2005年に上梓した『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』(東洋経済新報社)は、食品添加物の現状や食生活の危機を訴え、70万部を突破するベストセラーに。その他の著書に『食品の裏側2 実態編 やっぱり大好き食品添加物』(東洋経済新報社)などがある。

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