親の認知症「お金を守る」ためにすぐやること 「親のお金はあるのに使えない」事態は避けたい

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また、法定後見人に選出されるのは弁護士や司法書士などが多く、必ずしも家族が選出されるわけではないのもハードルになっているようです。

費用も気になるところです。契約時の公証役場への手数料や印紙代が数万円、契約書作成の報酬などで約10万〜30万円必要です。

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後見人への月々の報酬は2万〜6万円、後見人のチェック機能を果たす後見監督人への報酬も1万〜3万円になり、本人が亡くなるまで支払いは続きます。

知っておきたいのは認知症になって判断能力がなくなると、選択肢は「法定後見」しかないということ。

その前であればいろいろ選べるので、早めの準備が重要です。

「法定後見と任意後見の違い」
法定後見と任意後見の違い(画像:『マンガで解決 親の認知症とお金が不安です』より)

家族信託は初期費用を考えて

親の財産管理の方法として「家族信託」という制度もあります。

親が元気なうちに預貯金や株式、不動産などの管理や処分の権限を託す契約を、家族との間に結ぶことです。

成年後見制度にくらべて自由度が高く、手続きも比較的簡単。

遺言書のかわりとしても機能します。ただし、信頼してまかせられる家族がいる人しか利用できず、依頼先によって、初期費用には差があるのでよく検討を。

上大岡 トメ イラストレーター

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かみおおおか とめ / Tome Kamioooka

東京生まれ横浜育ち。東京理科大学工学部建築学科卒。建設会社を経てイラストレーターに。一級建築士、講道館柔道初段、日本ヨーガ瞑想協会登録教師。著書にミリオンセラー『キッパリ! たった5分で自分を変える方法』『のうだま1、2』(池谷裕二氏と共著)、『日本のふくもの図鑑』『老いる自分をゆるしてあげる』など多数。

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黒田 尚子 ファイナンシャルプランナー

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くろだ なおこ / Naoko Kuroda

CFP®︎1級ファイナンシャルプランニング技能士、CNJ認定 乳がん体験者コーディネーター、消費生活専門相談員資格。大手シンクタンク勤務を経て、ファイナンシャルプランナー資格を取得。1998年独立。現在は各種セミナーや講演・講座の講師、新聞・書籍・雑誌・WEBサイト上での執筆、個人相談を中心に幅広く行う。

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