ゴルフのプロ大会に問われる観戦する価値 無料で観客を集める意義はどこに

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特定の人が無料になる試合は、男女ツアーとも多いのはご存じだろうか。昨年のJGTOツアーでは国内開催23試合のうち、小学生以下1試合、中学生以下5試合、高校生以下15試合(18歳以下含む、いずれも一部保護者同伴条件あり)、65歳以上2試合があった。LPGAツアーでは37試合のうち、中学生以下1試合、高校生以下(18歳以下含む、一部保護者同伴条件あり)31試合、21歳以下1試合があり、70歳以上も7試合(予選ラウンドのみも含む)、女性が3試合(男性入場者との同伴1試合)と、条件付き入場無料実施が男女とも大半を占める。

大事なのは「足を運びたい」大会であるか

今年も継続されているはずだが、行く際には確認を。数人で行くときにひとりでも2人でも無料だったら、財布も助かるだろう。

試合の面白さが、タダで入った人はもちろん、入場券を買った人たちにはなおさら、大きな付加価値になる。選手たちは「次はカネを払ってでも見たい」というリピーターを生むようなプレー、行動をしなければ、せっかくの種まきが無駄になる。条件付き入場無料を実施していても観客数が飛躍的に伸びたという話を聞かないのは、まだそうなっていないと思われても仕方がない。

無料の条件や、そもそもの料金設定の再考も必要かもしれない。「すべて無料にすればいいのか」ではない。タダでも、行って面白くなければ「次」はないだろう。

グランド・ゴールドが伸びているのは、何がしかの付加価値を観客が感じているからだといえる。男女とも入場券の料金設定は一部を除いてほぼ横並び。値上げしても入るような付加価値を独自に見つけていくのも必要になってくる。入場料が高くても観客が入る大会も確かにある。要は「足を運びたい」大会になるかどうかで、無料はきっかけに過ぎないし、きっかけにしたい。

ゴルフを1回ぐらい見たいと思っている方、子供や孫にゴルフを見せたい方、条件にあえばタダで入場はできる。「タダだったら、見てもいいか」と思った方、ぜひどうぞ。いまは梅雨空、ゲリラ豪雨など、ちょっと天気が気になる時期だが、11、12月まで男女ともツアーが続くので「タダでゴルフ観戦」の機会はたくさんある。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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