外国人の安定雇用には日本人の「平等意識」を捨てよ 真の「平等」を理解し、外国人を安定的に雇用する

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ミャンマーの地方出身の彼は、ミャンマー到着後も実家まで片道で丸1日かかります。日本からの飛行機移動も考えると、10日程度の休みでは家族と出会ってもすぐ帰らなければならず、無給でもいいので長めの休暇申請ができないか企業に相談しました。

そんな休暇を取られては、日本人従業員との不公平感が生まれる、だから許可できない――。とも考えたのですが、実際に現場で一緒に働く日本人からも「なんとか長めに休ませてあげられないか」と打診もあったことを受け、特別に長期の休暇を認めることにしました。

雇用主の「平等破り」に外国人は感謝する

現場を抜けられると困る点もあったとは思いますが、これまでの勤務態度や姿勢から、現場の協力もあって、家族と久しぶりにゆっくりと過ごすことができたようで、本人は企業の特別判断に非常に感謝していました。

この会社では、ミャンマー人の継続採用を検討しており、継続採用の際には、面接官として現地に渡航することで、重ねて一時帰国できる仕組みもつくってあげようと協議を進めています。

ほかにも、外国人従業員の気持ちを考えたうえで会社のルールを変え、地方で安定雇用に成功している北陸地方の介護事業者をご紹介したいと思います。

都会と比べると給与は低く、かつ都心と同レベルの給料を支払うのは難しい。それでもせっかく育成した人材が、技能実習が終わり特定技能に切り替わる転職可能なタイミングで会社を辞めてしまうことが起きていました。

そのような中、介護技能実習生として働く男性の1人から「親戚や彼女を採用してもらうことはできないか」と受け入れ企業に相談がありました。受け入れ企業は当初、「縁故採用なんてすれば、日本人からも不平不満が生じる」と悩んでいたそうです。

早速、本人にヒアリングすると「長く日本で働きたいと思っており、もし受け入れ企業が彼女や親戚の受け入れを進めてくれるのであれば、責任をもって彼らのサポートをする」と言います。

そして「長く働くことでこの企業に恩返ししたい。気心知れた彼女や親戚が身近にいれば、わざわざ知らない人がいる都心に行かなくても、ここで生活を続けられる」と、地方で安定して働くという希望を持っていたようです。

最低賃金の高い都会を目指す人材が多い中、いかに地方に定着を進めるか頭を抱える企業も多いですが、こうした「平等破り」は、地方企業での定着に向けたヒントになります。

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