外国人の安定雇用には日本人の「平等意識」を捨てよ 真の「平等」を理解し、外国人を安定的に雇用する

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彼らは1次避難所で日常生活を送っていましたが、行政の配慮により、お年寄りとともに2次避難先のホテルに優先的に案内されました。これは日本人からすれば「平等」以上の対応であると思われるかもしれません。

ところが、ミャンマー人たちは違う感情を抱いており、逆に「外国人だから見捨てられた」と感じたそうです。実際、1次避難所では食事を含めた支援を受けていましたが、2次避難所に移されたミャンマーの方々は、自炊のできるほかの施設に移ったミャンマーの方から食事の配達を受け、外食は回避できましたが、不自由な生活を余儀なくされました。(「ミャンマー関西」主催、能登半島地震・現地激励行動報告会〈被災ミャンマー人の状況について〉

このように、日本人と同等以上の対応を行っても、すべてが解決するわけではありません。相手の置かれた状況や価値観を理解し、解決策を模索することが多文化共生のカギだと田村氏は指摘しています。

給与だけを平等にすればよいのではない

外国人を雇用する現場でも同様の事例が見られます。ある外食企業では、ミャンマー人を特定技能資格者として雇用しています。彼らは非常に真面目で社内評価も高いのですが、日本人と同様に自発的に動くことや責任を持つことについての成長が見られませんでした。

現場責任者は、給与が日本人と同等以上であれば、彼らも同じように成長すると思い込んでいました。しかし、日本人と同様の給与を支払っても、彼らが求める目標や方法を明確に伝えていなかったことがわかりました。

日本人にとっては当たり前は、外国人にとっても当たり前とは限りません。現場責任者が求める理想像を具体的に伝え、その意味を正確に伝える。できない訳ではなく、理解できていなかっただけなのです。

外国人が求めること、不足していることを理解し、会社のルールを変えれば、外国人だけでなく、日本人の安定雇用にもつながり、ひいては日本を目指す外国人が増え、「選ばれる日本」になる1つの要因になりえると感じています。

実際に、そうした外国人の考えを汲み取り、会社のルールを変え成功している事例があります。その会社では、ミャンマー人エンジニアを正社員として採用しています。このミャンマー人は5年ぶりの一時帰国を検討するも、会社のルールで有給以上の休暇を取る仕組みがなく帰国を断念していました。

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