高層ビル「台北101」が大地震でも無傷だった秘訣 5年間「世界一」を守ったビルの"制振・耐震設計"
筆者の職場である台北市内のビルの13階では、机の上にあったものすべてが床に落ちており、引き出しが開いて、中のものが飛び出していた。コピー機が数メートルも動いている。
パソコンのモニターは床に落下し、ウォーターサーバーのボトルは台座から転げ落ちている。ホワイトボードや壁に掛けたポスターは壁からずり落ちていた。
地震が起こった際、すでに出勤していたスタッフは、筆者が自宅で経験したのとは比べものにならないほどの揺れに直面し、かなりの恐怖を感じたそうだ。スタッフに人的被害がなかったのが、本当に救いだった。
まずは床に散乱した電子機器やら書類やらを片付けないといけない。しかし、余震がひどい。午前中はとても勤務できる状態ではなく、繰り返しやってくる余震に怯えながら、ひたすら片付けに追われた。
花蓮で地震は日常茶飯事だったが
ほどなくして、震源地は台湾東部の花蓮県だとわかった。台湾東部はユーラシアプレートとフィリピン海プレートの衝突によって生まれた陸地であり、花蓮県で最も有名な観光地である太魯閣(たろこ)峡谷は、2億年にわたる激しい地殻変動と侵食によって生まれた大峡谷だ。
大自然の雄大さを味わえる景勝地として人気がある一方で、マグニチュード6規模の地震がほぼ毎年発生している地震頻発地でもある。
友人が花蓮に住んでいるというスタッフが、安否を案じて早速連絡をとったところ、友人からは無事を知らせる一報と、「花蓮では震度4は日常茶飯事だけど、今回の地震はさすがに怖かった」との連絡があったという。
震源地が台湾東部と知り、台北市内の東部の様子が気になった。
筆者のオフィスは台北市の西部にあるが、台北市の東部には高層オフィスビルや百貨店、外資系ホテルなどが集中しており、台湾一の高さを誇るランドマークタワー「台北101」も市内東部にある。
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