高層ビル「台北101」が大地震でも無傷だった秘訣 5年間「世界一」を守ったビルの"制振・耐震設計"

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台北101展望台からの風景(写真:筆者撮影)

台北市の西部にある13階のオフィスでも、午前中は仕事にならないほどの状態だったのだ。筆者のオフィスよりも震源地に近く、かつ地上からの高さもある台北101は、地震で大変なことになっているのではないだろうか。

世界最高水準の制振・耐震技術

結論からいうと、台北101は無事どころか「無傷」だった。むしろ「台北101で遭遇した本震より、自宅で経験した余震のほうが揺れを強く感じた」という声がインターネット上にあふれていた。

実際に台北101の35階に勤務しているスタッフに話を聞いたところ、「揺れはほとんど感じなかったし、ものが落ちてくることもなかった」とのことだった。

いったいなぜなのか。

高さ509.2メートルという台湾一の高層ビルで、世界で10番目の高さ(2024年現在)を誇る台北101は、2004年12月31日の竣工から2010年1月4日までの5年と5日間、「世界一の高層ビル」でもあった。当時の建築技術の粋を集めたこのビルは、世界最高水準の制振・耐震設計によって支えられている。

今回の地震では特に2つの設計が、台北101を救ったとされている。

1つは、耐震のために設置されている杭。地中深くに8本もの巨大な杭が打ち込まれ、1000年に一度の超巨大地震にも耐えられる構造になっている。

もう1つは、巨大なウインドダンパーである「チューンドマスターダンパー(TMD)」。

台北101の89階展望フロアから見たウインドダンパー(写真:筆者撮影)
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