川勝知事で話題「細川ガラシャ」壮絶な辞世の句 辞任の心情を問われて引用し、注目が集まる

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「鈴だけは、どうか、鈴だけは……」

よほど自分も死んでしまおうかと何度も思ったが、玉は思いとどまった。2人目の子を宿していたからだ。私が細川家を守る。夫から離縁されてもなお、玉はそんな意思を固めていた。忠興が現れないのも、きっと何かの理由があるはず――。

そうして幽閉生活も2年が経ったころ、玉は宮津へと帰還が許される。ついに忠興が現れた。

夫・忠興の異常な愛情

忠興は玉に会うと、しっかりと抱きしめた。忠興は玉と復縁する許しを得るため、2年の間必死に秀吉に仕えていたのだ。一度、離縁したのも、明智家とのつながりがもはやないことを、秀吉に示すためであった。

「玉、会いたかった。離縁はそなたを守るためだった。ようやく太閤秀吉殿がお許しになられたのだ……」

秀吉……父を討った秀吉に私の命運は握られていたのか……そんな悔しさがなかったかといえば嘘になるが、安堵がそれに勝った。なにしろ、2年間、山にこもって、ひたすら将来を悲観する時間を過ごしたのだ。

忠興様を信じてよかった……また、ここから、夫と子供たちと人生を始めよう。玉は忠興の胸で涙にくれながら、何とか前を向こうとしていた。

しかし、夫の忠興の様子がおかしいことに気づくのに、そう時間はかからなかった。いつも見張られているような気配を感じながら、日々を過ごしているうちに、玉は忠興から外出を禁じられてしまう。

「一体、なぜなのですか!」

玉は抵抗するが、忠興は「一歩も出てはならぬ」と繰り返すのみ。そして、玉を抱きしめて、耳元でこうささやいたのである。

「もうどこにも行かせない。ずっと私のそばにいればよい」

 嬉しい言葉のはずなのに、咄嗟に玉は忠興を突き飛ばしてしまった。

「ごめんなさい……」

忠興は薄ら笑いを浮かべながら、庭のほうへ目をやった。庭師がこちらに背を向けて木々の葉を切り、整えている。

「家中でも安全とは限らないか……」

そういうと、忠興はつかつかと庭へ降りて、庭師が振り返るや否や、刀で斬り付けて殺してしまった。

「人の妻に手を出そうとするからだ」

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