卵子凍結を選んだ30代女性が考える「自分の価値」 東京都の助成事業に予想の7倍・1500件超の申請

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卵子凍結の前には妊孕(にんよう)性に関する説明会を行った。すると説明会の後「妊娠は早いほうがいいことがよくわかった」と自然妊娠したり、すぐに不妊治療を始めたりして出産した人が一定数いた。

浦安の事業の経験から、菊地医師は東京都から制度設計について助言を求められたときも、説明会の大切さを強調し、このスタイルは都の助成事業にも受け継がれた。

一方で、卵子凍結をした未婚者の出産については、菊地医師も難しさを感じている。

「例えばフランスでは、未婚の女性でも、同性愛のカップルでも、卵子や精子の提供を受けられ、子どものいる家庭を築くことが法的に認められています。しかし、日本では第三者の精子、卵子をもらうことについて、法整備がまだできていません」

卵子凍結
採卵した卵子を確認する胚培養士(写真:メディカルパーク横浜提供)

卵子の時間を止めておく

卵子凍結は、凍結することだけを考えれば、単に「卵子の時間を止めておくだけ」のように見える。一見、とても合理的な話だ。しかし、そこには、卵子を凍結した女性たち1人ひとりの、命や家族に対する想いがある。

卵子凍結という技術がもたらした可能性は、社会や家族を変えるのか、それとも日本は、やはり従来の家族観にしがみつき続け、単なる「お守り」として、一時の安堵感のサービスとして未婚女性たちに凍結の助成を広げていくのか。

いずれにせよ、卵子凍結を、年齢にプレッシャーを感じている女性だけの問題としてはいけない。

子どもが欲しいのに産めない人が、なぜこんなにたくさんいるのか、産みたい人がさまざまな生殖技術を使うことについて、どんな話し合いが必要なのか。卵子凍結への注目を機に、みんなに考えてもらいたい。

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河合 蘭 出産ジャーナリスト

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かわい らん / Ran Kawai

出産ジャーナリスト。1959年東京都生まれ。カメラマンとして活動後、1986年より出産に関する執筆活動を開始。東京医科歯科大学、聖路加国際大学大学院等の非常勤講師も務める。著書に『未妊―「産む」と決められない』(NHK出版)、『卵子老化の真実』(文春新書)など多数。2016年『出生前診断』(朝日新書)で科学ジャーナリスト賞受賞。

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