卵子凍結を選んだ30代女性が考える「自分の価値」 東京都の助成事業に予想の7倍・1500件超の申請

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女性たちに希望を与える卵子凍結だが、課題もまだまだある。

東京都に先んじて、2015年に少子化対策の一環として卵子凍結の助成事業を行ったのは、千葉県浦安市だ。

事業は2018年に終了し、卵子凍結を行ったのは34人。1人だけ凍結した卵子で出産した。凍結卵子を使わず自然妊娠などで出産した人が5人いたが、ほとんどの卵子はまだ眠っている。

当時、順天堂大学医学部附属浦安病院リプロダクションセンター長として、この事業を担ったのが、産婦人科医の菊地盤医師(メディカルパーク横浜院長)だ。最近、凍結した人へのアンケートが実施されたが、「産めない状況が変わっていないから、まだ産んでいない」という解答が多かったという。

「凍結した女性たちは、産めない状況が変わることを期待して凍結したわけですが、5年経っても変わっていない。これでは少子化対策になりません。凍結した女性が個人的に頑張るだけではなく、男性も加わったもっと根本的な議論を始める必要があります」(菊地医師)

卵子凍結
浦安市の卵子凍結の助成事業にかかわった菊地医師(写真:本人提供)

「精子凍結事業」には無関心

ちなみに浦安市のこの事業は、精子も凍結することができた。

精子も老化するものの、卵子ほど明確な影響はない。でも、がん治療を受ける前には精子を凍結しておく男性もいるので、浦安市は卵子、卵巣組織のみならず精子の凍結も助成の対象とした。

しかし、精子の凍結に関心を持った報道関係者や市民はおらず、同事業は“初の自治体による卵子凍結事業”として話題をさらった。

それでも、菊地医師は「事業は、意識を変えた」と言う。

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