丸亀製麺のトリドール「ラーメン」で中国に再挑戦 実はうどんの"捲土重来"もあきらめていない

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たしかに豚骨ラーメンのグローバルでの人気は高く、日本でも人気ラーメン店には外国人旅行客の長い列ができている。

「一風堂」のアメリカの店舗がラーメン一杯約3000円という値段にもかかわらず盛況なのはたびたび報じられているし、中国・上海にも「金色不如帰」や「麺や庄の」など日本の著名ラーメン店が複数進出し、人気を集めている。

ただ、中国の外食産業は競争が非常に激しく、客だけでなく好立地のテナントや人材も奪い合いとなっており、日式ラーメンも数店舗までは出店できてもそれ以上は容易ではない。

パイオニアの味千は2011年に「1000店舗計画」を掲げたが、「新鮮さが失われた」「競合の増加」などを背景に2019年の約800店舗で頭打ちし、2023年末の店舗数は558店まで減った。

杉山氏によると、レッドオーシャンを勝ち抜くためにずんどう屋は上海1号店でラーメン1杯の価格を36元(約750円)に設定した。

「味千など大衆的なラーメン店の1杯の価格は30元(約620円)台で、日本の著名店が上海で展開するラーメンは1杯45~50元(約940~1040円)。ずんどう屋は味千に近い価格で、10時間炊き上げた豚骨スープと素材にこだわった麺を使った本格的なラーメンを提供する。手ごろな価格でプレミアムな体験という日式ラーメンの空白地帯にポジショニングすることで100店舗は短期間に実現できる」(杉山氏)

丸亀製麺が期待通りに出店が進まなかったことを教訓に、トリドールは中国市場でのずんどう屋の展開において、上海睿筧にマスターフランチャイズ権を付与した。

トリドールは商品の品質や体験価値の維持に専念し、中国での外食フランチャイズのノウハウを持つ現地チームに立地選定や現地に合わせたメニュー展開などを委ねることで、スピード感のある拡大を目指すという。

中国の不況は追い風

気になるのは、トリドールの看板ブランドで一度中国から撤退した丸亀製麺の再進出の可能性だが、杉山氏は「丸亀製麺は最近進出したカナダでも非常に好調で、うどんもグローバルで十分に展開できると考えている。中国では消費者が体験価値を重視するようになり、蘭州ラーメンのような大衆ローカル麺でもブランディングして少し高い価格で規模拡大に成功した事例が出ている。ずんどう屋をはじめとした中国の消費者に受け入れられやすい業態でノウハウを蓄積し、時代にあった展開のしかたで再挑戦したい」と意欲を見せた。

中国は景気低迷が長期化し、消費マインドも悪化しているが、「丸亀製麺がリーマンショックでも業績を伸ばしたように、トリドールは景気耐性が強い業態を多く抱えている。景気が悪くなると消費者は価格に敏感になり、コスパの高さをより評価するようになる」と、不況が追い風になると自信を見せた。

浦上 早苗 経済ジャーナリスト

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うらがみ さなえ / Sanae Uragami

早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育など。中国メディアとの関わりが多いので、複数媒体で経済ニュースを翻訳、執筆。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。新書に『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。
X: https://twitter.com/sanadi37
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公式サイト: https://uragami-sanae.jimdosite.com/
 

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