川勝氏だけじゃない「失言を繰り返す人」3つの特徴 上昇志向が強い人、自己肯定感が高い人も要注意

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話し好きでサービス精神がある

3つ目の意外な落とし穴は、話し好きでサービス精神があること。

これも本来はポジティブなことですが、「聞く人が引きつけられるような話をしよう」「わかりやすくなるようにたとえ話を入れよう」「何かためになる情報を入れよう」などの意識がある人は失言につながりやすいところがあります。

川勝知事は入庁式の際、ほぼ原稿などを読まず、新人たちを見て堂々と話していました。「威張る人がいたら反面教師にしてください。上にへつらってはいけない。下に威張らない。言葉づかいはとても大切です」とも語っていましたが、こちらは新人たちにとって参考になる言葉でしょう。

しかし、「引きつけるために」「わかりやすくするために」「ためになるように」などの意識が、無用なたとえ話や比較対象のピックアップにつながってしまうことがよくあります。事実、前述した川勝知事による過去の失言は、大半がそのような意識を感じさせるものでした。

さらに、話し好きでサービス精神がある人の中には、「自分が何を言うか」ばかりに意識が向けられ、「それを聞いた人がどう感じるか」への注意が欠けてしまう人が少なくありません。政治家であれ、企業の管理職であれ、組織の主導的な役割をする人は、ハラスメントと同じように「聞いた人がどう感じるか」という意識は重要です。

たとえば、「いいことを言ったはずなのに手応えがないな」と感じたときは、「それを打ち消すくらいの失言をしていた」のかもしれません。こういう人は「言わなくてもいいリップサービスで墓穴を掘ってしまった」という失敗を繰り返して信頼と立場を失っていくので、自分の話術レベルを過信しないほうがいいでしょう。

周囲に止める人がいない哀しさ

そして、話し好きな人の失言リスクが高いもう1つの理由は、周囲に止めてくれる人、止めようとする人がいないこと。コミュニケーションのベースが「自分が話すこと」になっているため、助言を与えることはできても、助言を得ることは難しいところがあるのです。

表面上はうまくつき合えているように見えても、実際は「向き合ってもらえていない」「関わり合いを持とうと思われていない」というケースが少なくありません。しかも組織の中でこのように距離を取られた関係性が続くほど孤立化が進み、失言リスクは高まっていくのが怖いところです。

ここまであげてきた「周囲との関係性を客観視する習慣」「仕事に対するモチベーションが高く、それを自負している」「話し好きでサービス精神がある」という3つのポイントは、いずれもビジネスパーソンにとってポジティブなものでしょう。しかし、紙一重で失言という落とし穴にはまり、立場を追われることもありえるだけに、川勝知事の辞任は決して対岸の火事ではないのです。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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