生ごみを触れない生徒が増加、家庭科教員の嘆き 洗濯やトイレ掃除は「宿題」に出て初めて体験
同じく、複数の私立中高一貫校で教えるBさんは、このように言う。
「私が教えている学校にも生ごみを触れない子は多くいます。小さい頃からどろんこ遊びをすることがあまりなくて、『汚いものは触っちゃダメ』という生活をしてきているせいもあるのかな、と思います」
Bさんは調理実習中のある「事件」を語る。
「以前、男子中学校の調理実習で天ぷらを作ったのですが、衣用に用意していた水を熱した天ぷら油に入れてしまった子がいたんです。当然、火柱が上がって大騒ぎでした。
そのときはフットワークの軽い子が近くにあった濡れ雑巾をパッと火柱に被せて消火したんです。その子は手元に消火器がないときの消火方法を知っていたんですね。
このように学力的には同じような子たちでも、経験の違いによって、できること、できないことの差は大きいです」
家庭での経験が圧倒的に不足している
子ども自身が将来、自立した生活を送れるようになるためには、家庭科で学ぶ基本的な知識は身につけておきたいもの。
だが「あなたは勉強していればいいのよ」と言われて育ってきた子どもたちは「生きる力」が弱くなっているのではないかという。
「中学生の家庭科では洗濯の項目があるのですが、今は洗濯をしたことがない子も多いです。洗濯といっても“ワンボタン”で終わる便利な時代ですが、そのボタンさえ押したことがない子も結構います」(Aさん)
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