会社人生で知っておくべき「人間の本質」 中国古典に答えがあった!

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これは戦いの場だけではなく、人間関係にも当てはまることは言うまでもありません。こちらが強い立場にいるときに起こりやすいのですが、知らず知らず相手を立つ瀬のない状態に追い詰めていることがあります。人間は追い詰められると、何をしでかすかわかりません。

日本のことわざにも、「窮鼠、猫を嚙む」というのがあります。かみつかれてから、しまったと思っても、時すでに遅しなのです。それがいちばんよく表れるのが、相手をしかる場合です。よく感情にかられて、相手の人格まで全否定するようなしかり方をする人がいますが、これはいただけません。

「一寸の虫にも五分の魂」と言います。腹に据えかねた相手が、どんな反撃に出てくるかわかったものではありません。

強い立場にあるときほど気をつけよ

こんな話が新聞に載っていました。

ある中小企業の社長さんが、自分のお抱え運転手を、「この雲助野郎」
と怒鳴ったばかりに、カッとした運転手にナイフで腹部を刺されたということです。

極端な例だとは思いますが、これに類することはいくらでも起こる可能性があります。それを避けるためには、しかるにしても、一方的にまくし立てないで、相手の言い分にも耳を傾けることが肝要です。相手にも三分の理くらいはあるはずですから、弁解の余地は残しておかなければなりません。

会社を辞めてもらう場合でも、後に怨みやしこりが残らないような配慮が望まれます。これもまた人間学のイロハと言ってよいでしょう。

守屋 洋 著述家

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もりや ひろし

昭和7年、宮城県生まれ。東京都立大学中国文学科修士課程修了。中国古典に精通する第一人者として、著述・講演などで活躍。研究のための学問ではなく、現代社会の中で中国古典の知恵がどう生かされているのかを語り、難解になりがちな中国古典を平易な語り口でわかりやすく説く。SBI大学院で経営者・リーダー向けに中国古典の講義を続けるなど、広く支持されている。著書に、『菜根譚』 (PHP)、『孫子の兵法』 (三笠書房)、『中国古典「一日一話」』 ( 三笠書房)、『〈新訳〉菜根譚』 (PHP)、『孫子に学ぶ12章』 (角川マガジンズ)、『「貞観政要」のリ-ダ-学』 (プレジデント社)など多数。

 

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