それが大事件になったのが、1919年の「ブラックソックススキャンダル」だ。この年のワールドシリーズは、アメリカン・リーグの勝者、シカゴ・ホワイトソックスとナショナル・リーグの勝者、シンシナティ・レッズの間で行われ、レッズが勝ったが、その直後からメディアが「ホワイトソックスの選手が、野球賭博に関与して八百長を働いた」と報道し、大問題となった。
まだ発足して20年足らずのMLBの存続さえ危ぶまれる中、球団オーナーたちはイリノイ州連邦地方裁判所判事だったケネソー・マウンテン・ランディスをMLBの絶対的な裁量権を持つ「コミッショナー」として迎え入れる。ランディスコミッショナーはホワイトソックスの8人の選手を「八百長に関与した」としてMLBからの「永久追放処分」に処した(彼らは司法判断では1人も有罪になっていない)。
ランディスコミッショナーの果断な処置でMLBは救われたとされる。翌年、レッドソックスからヤンキースに移籍したベーブ・ルースがMLB新記録の54本塁打を打ち、一躍人気となる。これまで「子どもが行く場所ではない」と言われた野球場に多くの子供が詰めかけ、MLBは一躍「ナショナルパスタイム」になるのだ。
MLB史上最大の危機は、初代コミッショナーのランディスと、ベーブ・ルースによって救われたと言ってもいい。
以後「野球賭博」は、MLBにとって最も忌むべき行為として、厳しく処断されることとなった。
永久追放処分を受けたピート・ローズ
MLB最多の4256安打を打ったピート・ローズは「ビッグレッドマシン」と言われた強豪、シンシナティ・レッズの大スター選手であり、日本にもやってきて日米野球では、王貞治や野村克也ともプレーした。
しかし引退後の1989年、ローズが永年野球賭博に関わっていたことや、その中に自分が監督を務めたレッズの試合が含まれていたことが発覚。当時のバート・ジアマティコミッショナーによって永久追放処分を受けた。
以後、何度か処分の解除の話が出たが、今に至るもローズは追放されたままだ。
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