さらに2015年になってESPNによって、ローズが選手時代から野球賭博に関与していたことが明らかにされた。これもあって、MLB史上最も安打を打ったピート・ローズは今に至るも「野球殿堂入り」していない。
2016年5月、イチローが日米通算でローズの安打記録を抜いたときには、ローズは日本メディアのインタビューに応えたが、経済的に苦しいような印象を受けた。イチローは来年のMLB殿堂入りが確実視されているが、ローズの殿堂入りは4月に83歳になる今も依然として絶望的だ。
ローズの例でもわかるように、MLBは「野球賭博」に対して極めて厳しい処分を下しているのだ。なおESPNは、今回の事件でも、水原氏に最初にインタビューをするなどスクープを連発している。忖度も容赦もない報道が基本姿勢だ。
日本でも「野球賭博」は大きなトラウマ
実は日本でも「野球賭博」は大きなトラウマになっている。1969年、西鉄ライオンズの投手、永易将之が、野球賭博に関わる暴力団に脅され「敗退行為(八百長)」をしていたことが球団の内部調査で発覚する。
そしてこの年10月に読売新聞と報知新聞がスクープ。球団は記者会見を開いてこれを認め、幕引きを図ろうとするが、週刊ポストなどの後追い報道もあって、事件はさらに大ごととなり、最終的には永久追放6人を含む19人が処分される大事件となった。
1950年代後半から華々しい活躍をして九州の人気球団となった西鉄ライオンズだが、この事件から低迷し、1973年には太平洋クラブに身売り、1979年には西武ライオンズとなり、本拠地を福岡県から埼玉県に移転するに至る。
プロ野球の「黒い霧事件」と言われたこの事件以降、NPBも「野球賭博」そして反社会勢力と選手の接触に厳しい目を光らせることになる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら