「出世嫌がる若者」理解せぬ中高年社員の意外な盲点 「ワークライフバランス」を重視する納得の理由

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今の若者たちはなぜ、出世や給料に執着しなくなってしまったのでしょう? あるアンケートや調査によると、20代の7割以上が特に出世をしたくないそうです。

理由は「出世をすると責任ばかりが増える、それに見合った給料が得られない。忙しくなればプライベートな時間がなくなる、上司を見ていて大変そうだから」などです。つまり、会社で働く上司や先輩を見て、「出世をしてもあまり報われない」と感じているのです。

多くの企業は、一定の年齢を超えると給料の天井が見えてきます。そして、昇進のために残業や転勤などの滅私奉公を求める傾向にあります。これは、なかなか正社員を解雇できない労働関連の法律のせいもあります。

企業側としては「簡単に人を増やしたり解雇したりできないから、忙しいときは残業してほしいし、転勤にも応じてほしい。定年まで雇えるようにするから、給料も生活できるレベルで納得してほしい」というわけです。

また「そういった条件を飲むから、簡単に解雇しないでほしい」と、雇われる側も長い年月これを受け入れてきました。中高年社員世代は滅私奉公にあまり抵抗がないし、「激務=昇進&高収入」が当たり前の価値観の中で生きてきたのです。

そのため、定時に帰ったり転勤を断る「ワークライフバランスを重視する若者」を、「わがまま」や「甘い」と感じたり、理解したりすることが難しいのです。

いつの時代も働き方は変わっていく

しかし、今は昔とは違います。大手企業でも大量解雇をしますし、定年までの安定した雇用が保証されていません。そして多くの企業は給料や昇進の基準が、昔とあまり変わらないままです。

そんな世代を見て育った若者たちが、滅私奉公してまで出世したいと思うでしょうか? プライベートを大事にしたり、給料や出世よりもやりがいのある仕事をしたいと考えたりするのは、おかしな話ではありません。

最近は年功序列の昇進ではなく、能力によって評価をしたり、フレックスタイムやリモートを選択肢に入れたりする、新しい時代の要望にマッチした会社も増え始めています。いつの時代も働き方は変わっていきます。

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