ヤマハが「楽器と無関係」のゴルフに参入した理由 2008年から女子プロのトーナメントをスタート

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現在、グローバル楽器市場ではシェアが1位で、 楽器全体25%、ピアノ33%、デジタルピアノ47%を占めている(2023年3月期・金額ベース・ヤマハ調べ)。

ヤマハ株式会社の吉田信樹氏(ゴルフHS事業推進部主幹)によると、ヤマハがスポーツ事業に進出したのは、4代目社長・川上源一氏の時代だ。戦後間もない1953年に欧米を視察した際、欧米のレジャー産業の隆盛を感じ、「日本もいずれそのような産業が活発になっていくだろう」と、多角化に舵をきったという。

吉田信樹氏(写真:筆者撮影)

スポーツ事業で最初に手掛けたのは、アーチェリーだ。

フレーム作りに、木製のピアノ本体の加工技術を生かした。弓の部分はFRP(Fiber Reinforced plastics:繊維強化プラスチック)製だったことから、ヤマハもFRPの研究を開始。1959年にアーチェリーの生産を始める。

その後、FRPをスキー板にも応用。FRP製のスキー板は当時主流だった木製のものに比べて弾性にすぐれ、折れにくいことから、好評を博した。この技術を活用して、テニスラケットも販売を始める。

そのようななか、ゴルフへの参入も決めた。理由は「市場の大きさ」だった。吉田氏は「新規参入にあたり、ヤマハのFRP技術を生かし、世の中にないものを開発するとのミッションがあった」と話す。

それまでクラブヘッドは「木」だった

3年ほどかけてゴルフクラブの開発を始め、1982年に「世界で初めてカーボン グラファイトコンポジットを採用したゴルフクラブヘッドの開発に成功、商品化を決定」と発表した。複合材料でFRPより強度の高いカーボン繊維を使用したものがCFRP(Carbon FRP)である。

世界初のカーボンウッドC-300(写真:ヤマハ提供)
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