批判も多い「LUUP」1日乗り倒して見えた長所短所 渋谷周辺の100ポート全部回ってみた【後編】

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実際、LUUPは高齢者でも乗ることができる電動モビリティの開発も視野に入れているらしい。

今でこそ、LUUPは、一部の都市住民のための移動手段のようになっているが、それが本当の意味で活躍するのは、むしろ地方に進出したときなのかもしれない。

LUUPの理念は「街じゅうを『駅前化』するインフラをつくる」ことだという。「ポート」=港、という命名からもわかる通り、LUUPが置いてある場所は一種の「駅」であり、これまでの既存の駅間移動を超える交通のあり方をLUUPに託しているのだ。それが地方にまで広がったときにどうなるか、注目しておくべきだろう。

LUUPを全肯定も全否定もせずに注視していこう

というわけで、LUUPのポートを100カ所巡りながら、その特徴や可能性について考えてきた。

LUUP関連の話題をするとどうしても「LUUP便利だよね!最高!ベンチャースピリットも大好き!」という全肯定派と、「LUUPなんて乗り物危なくてけしからん!即刻撤廃すべき!海外でもやらなくなっている!」という全否定派の意見ばかりが大きく取り上げられがちだと思う(そして、現在は、後者の「全否定派」の意見が強い)。

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ネットメディアの見出しを見ても、とりあえずLUUPの危険性をあおる……というものが多い(そして、たぶん、そういう記事は読まれる)。

ただ、個人的にこういう状況は嫌だなあ、と思っていて、実際都心部の若者は、かなり便利な乗り物としてLUUPを普段使いしている人が増えてきている現状があるし、一方で、そうした利用の中でマナー違反があったり、危険な使い方をしている人もいる。

当然のことだが、何事にもメリット・デメリット両方あるわけだ。だからこそ、肯定/否定ではなくて、あくまでも「LUUPがどんな状況を起こしているのか。LUUPによってどのように社会は変わっているのか」ということを冷静に分析する必要があるのではないか。

谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

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