「英語を自然に訳せない」悩む人に教えたいコツ1つ 翻訳家が教える「一流」と「二流」の決定的差
私のスクールにはバイリンガルの子どもたちが通っていますから、子どもたちに英文を和訳させると、小学校の中学年くらいまでは比較的自由に和訳しています。子どもたち自身が英語を読んで理解したものを、何となく感覚的に自分が普段よく使う日本語に変換しているのです。
小学校の中学年までは、これが自然で正しい方法だと私は考えています。
ところが、高学年になってくると少し変化が出てきます。辞書を使うことにも慣れて知恵がついて、語彙力が増えてくるからでしょう。そのとき意外にも、辞書で引いた言葉をそのまま使いたがるのです。
たとえば、「勤勉」とか「忍耐力」といった漢語系の難しい言葉がそうです。これらはおそらく、子どもたちが日常で使ったことがない言葉です。
そうした辞書に載っている言葉をそのままつなげて英文和訳すると、どのような表現になるのか? 皆さんのご想像通り、いわゆる直訳調のあまり褒められない翻訳文(日本語)になってしまうのです。
ビジネスの場では使えない「直訳調」の和訳
こうした直訳調の英文和訳で正解になるのは、学校のテストや受験のときだけ。多少日本語としての文章がおかしくても、たとえわかりにくくても、いかに正確に翻訳するかが求められる試験では、点数を引かれることはないでしょう。
ただし、直訳調のわかりづらい英文和訳は、学校ではよくても、社会に出てビジネスの場となると使いものになりません。なぜなら、そうした文章は自然な日本語どころか、読んでも意味がわからないからです。
こう断言できるのは、私自身が社会に出て翻訳という仕事を長年やってきたからです。
私が英文を日本語の文章に翻訳するときに、自然な日本語にするためにいつも気をつけているのは、「自分が普段使わない言葉は使わない」ということです。いくら辞書に書いてあっても、知らない言葉は使わないようにしています。
こうした心構えひとつで、私たち人間の思考センスは磨かれていくのです。
きっと、皆さんにもあると思います。「この言葉は生まれてから一度も使ったことないな」という日本語が、です。
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