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地震にどこまで自ら保険で備え、税金で支えるか 保険金で建て直す人が減ると仮設住宅がかさむ

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  • 土居 丈朗 慶應義塾大学 経済学部教授
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能登半島地震の被災地では、確かに地震保険の世帯加入率が低い。しかし、地震に対する保険は、地震保険だけではなく、全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)の建物更生共済や、全国労働者共済生活協同組合連合会(こくみん共済coop)の自然災害共済などがある。

これらを合わせた世帯加入率をみると、2020年度末時点での筆者の推計では、石川県は61.5%と、隣県の富山県の63.2%や福井県の79.6%と比べて低いものの全国平均の54.1%を上回っている。地震保険だけだと石川県は28.4%であり、JA共済連の建物更生共済の件数が多いことによるものである。

ちなみに、地震保険だけでなく共済等も含めた地域別世帯加入率は、政府から公式に発表されていない。統計の整備が急がれる。

どこまで保険や共済で備え、どこから税金で支えるのか

地震は起きてほしくはないが、地震保険に入らず、自宅が全半壊しても、応急仮設住宅が割安に払い下げられて半永久的に使えるということになると、その建設費用は、税金で賄われることになる。被災者が少なければ、まだ多くの国民が払う税金によって支えられるかもしれないが、被災者が多くなれば、税金では支えきれないことにもなりかねない。

地震については、正しく恐れることが大事である。地震への備えとして、保険や共済は欠かせない。もちろん、税金を投じて財政支援すべきものは躊躇すべきではないが、それも支えられるだけの財政基盤があればこそのことである。

地震に対して、どこまでを自助・共助(保険や共済)で備え、どこからを公助(税金)で支えるのか、国民的な議論が求められている。

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