不正続発の大手損保は"ウミ"を出し切ったのか ビッグモーター、カルテル問題で処分も残る闇

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ビッグモーター問題は、中古車販売店だけでなく、トヨタ系ディーラーなど大手自動車メーカーの系列新車販売店に対しても、損保各社がいかに隷属しているかを浮き彫りにした。

ディーラーから損保が車両を積極的に買い上げたり、ディーラーのキャンペーンには二つ返事で損保が人員を派遣して営業協力(本業支援)したりする形で恩を売り、保険契約の獲得につなげようと汗を流していたわけだ。

ディーラーに対する優遇策の見直しは、損保における改革の1丁目1番地のはずだ。しかし、外部から指摘されない限りは「聖域」として温存しようとしているのではと、勘繰りたくなる事例が少なくない。

東京海上の特約はディーラーへの「営業協力」か

東京海上日動火災保険の「競技・曲技等使用危険補償特約」はその1つだ。カーレースなどの競技による事故費用を補償する特約だ。事故が多いことから、その損害率は一般の自動車保険の数倍に上る。2021年の改定で保険料を10倍以上に引き上げたものの、収支は依然として赤字の状態だ。

東京海上は「収支動向を踏まえ、必要に応じてさらなる料率の引き上げを検討している」としているが、カーレースの期間だけ特約を付帯し、保険料を日割りで支払うことを容認しているため、収支の黒字化は容易ではないだろう。

では、赤字を垂れ流し続けている同特約をあえて温存させているのはなぜか。それは、「大手ディーラーの役員で、レースに参戦する人が多いからだ」と東京海上の関係者は解説する。同特約が、ディーラーの役員に恩を売り、「営業協力」する道具の一つになっているのが実態なのだという。

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