不正続発の大手損保は"ウミ"を出し切ったのか ビッグモーター、カルテル問題で処分も残る闇

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つまり、不正事案をめぐって退任となった人物が、不正事案によって被害を受けた契約を扱う会社のトップに就くことになる。不正の全容がいまだ解明されていない中で、契約を管理する立場を利用して、被害を矮小化するのではないか――。そうした不安を契約者に持たせることにもなり、現場からは「あまりにも無神経だ」(損保ジャパン社員)との声が上がる。

そもそもパートナーズ社は、1年前に社長が交代したばかり。受け皿がパートナーズ社しかなかったわけでは決してない。あえて就任間もない社長を押しのける格好で、SOMPOは重定氏を送り込むわけだ。

また、不正請求をめぐる主な舞台となった保険金サービス企画部を当時統括しており、現在はロードサービスなどを手掛けるプライムアシスタンスの社長を務めている大倉岳氏は、そのまま社長職を継続するという。

ビッグモーターによる不正事案は、保険会社として不正請求の片棒を担ぐかのような重大な事態を招き、16年ぶりに金融庁から行政処分を受けただけでなく、最悪の場合は会社への背任といった刑事責任まで問われかねないものだ。

それにもかかわらず、事実上の引責で退任した役員を、グループ会社の役員として残すことが、SOMPO流の厳しい処分ということなのだろうか。

処分の緩さに対する現場の怒りの声は、SOMPOの櫻田謙悟会長兼グループCEOをはじめとした首脳陣にも向けられている。

報酬減額は「6カ月」と公表したが実は「1カ月」

公表資料では、櫻田氏と損保ジャパンの西澤敬二会長は、6カ月にわたり月例報酬の50%を減額するとしているものの、驚くことに実際には1カ月だけの減額にとどまっていた。

そのワケについてSOMPOは、櫻田、西澤両氏が3月末に退任し、4月以降は減額する報酬自体がないからだと説明していた。

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