【産業天気図・百貨店】衣料品中心に好調持続。消費税率アップの駆け込み需要もあるか

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百貨店業界は2006年も好調が続きそうだ。全国百貨店売上高は05年(暦年ベース)12カ月中7カ月が前年同月比プラスだったが、年間比較ではわずかに0.2%減と、9年連続前年割れの7兆8416億円だった(スーパーも同様に9年連続前年割れ)。とはいえ05年は夏場以降、紳士服など衣料品を中心に回復傾向が鮮明で、06年は10年ぶりにプラス転換する可能性が高まってきた。
 ただ不透明要因もある。最も大きな影響は、早ければ07年にも導入されるかもしれない消費税の税率アップだ。前回5%に引き上げた際にも駆け込み需要が目立ったが、小泉政権交代で風向きが変われば、06年はまさに税率引き上げの前年に当たり、皮肉にも“追い風”になるかもしれない。一方、“逆風”になりそうなのは天候だ。05年の夏と06年の冬は「猛暑」「厳冬」と、小売業界にとって消費を刺激する環境が整っていた。気温が平年並みに戻れば、あるいは「冷夏」「暖冬」に様変わりすれば、反動減に陥りかねない。
 個別企業を見ると、営業増益組は高島屋<8233.東証>と三越<2779.東証>、大丸<8234.東証>。中でも大丸はJRと組んだ札幌店などが好調で、過去最高純益も更新する。三越は売り上げが伸びないものの、05年の赤字店4店閉鎖などコスト削減効果が大きい。高島屋も衣料品を軸に高水準の利益を確保する。
 ただ他の大手も不振というわけではない。伊勢丹<8238.東証>は新宿本店、阪急百貨店<8242.東証>は梅田本店と、それぞれ旗艦店を大改装する結果、それに伴う売り場縮小が響くものの、いわば先行投資。伊勢丹は営業益横ばい、阪急百貨店は営業減益だが、これらは将来への“種まき”と考えて良いだろう。
 唯一の例外は松坂屋<8235.東証>か。愛知万博の特需がなくなり、若干の営業減益となりそう。とはいえ、総じて大手の業績は実質的に好調持続と考えてよさそうだ。
【大野和幸記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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