堀場製作所「創業家の社長候補」が担う5カ年計画 次世代車と半導体分野などで営業利益1.7倍に
「アメリカ子会社やグループの経営を通じ、堀場のポテンシャルは非常に高いと感じている。よりグローバルで『ホリバリアン』(従業員)の能力を生かすことができないかと考え抜いた計画だ」
新中計のもう1つの注目点は、これまでの投資がついに実を結ぶと期待させる中身だったことだ。
看板事業の自動車関連では、自動車の開発やEV(電気自動車)・燃料電池車の試験領域が本格的な収益貢献を始めそうだ。
買収事業がようやく利益貢献
堀場製作所は2015年にイギリスのマイラ社の事業を約8300万ポンド(当時の為替レートで約155億円)で取得、車両開発や走行試験施設の運営を始めた。2018年にはドイツのフューエルコン社を買収、EV用電池や燃料電池の試験装置開発に参入した。
買収を駆使して自動車関連の事業を充実させてきたが、これら新領域での人員確保や生産ラインの増加など先行投資がかさみ、近年の同事業は利益が出にくい状況にあった。2017年にはマイラ社ののれん減損にかかる23億円の減損損失も計上している。
だが2024年には、設備投資で製造能力を3倍にしたフューエルコンの設備が貢献し、水素関連やバッテリーの試験装置の出荷が急増する。新領域が本格的に利益貢献を始める見込みだ。車両開発もEVなど次世代自動車を中心に伸びており、これらが新中計での成長を牽引する。
他方、半導体関連も成長を加速させる。主力製品は「マスフローコントローラー」と呼ばれるガスなどの流体の流量・質量を計測・制御するための小型装置だ。
半導体材料のウェハーを削るエッチング装置など、半導体製造装置に組み込まれている。堀場製作所によれば世界シェアは60%を誇る。半導体製造の設備投資需要が高まる局面でマスフローコントローラーの需要も拡大する。
実際、近年の半導体活況を追い風に半導体関連事業の営業利益は3年前の2.9倍へと拡大。2023年12月期は全社営業利益の86%を同事業で稼ぎ、3期連続での過去最高営業利益の更新に導いた。
半導体市場は搭載点数が増えるEV向けやAIの高度化により今後も拡大していく。堀場製作所は同社史上最大の投資額となる170億円を投じて京都・福知山に半導体向け装置の新工場を建設する。さらに出荷量を増やし需要増に応える。
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