経団連も動いた、夫婦別姓「第3次訴訟」で新展開 国を12人が提訴「日本以外の国は両立している」

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とくに女性経営者や起業家にとって、姓を変えることはビジネスに直接的に影響する。集会でも「姓を変えるということは、人生をかけて信頼と関係をつくってきたブランド名を変えるということだ。経営者としては死活問題」(有志の会呼びかけ人の1人、SD&I研究所代表理事、femUnitiCEOの鈴木世津氏)など切実な訴えがあった。

しかし、政府や国会の危機感は薄い。

今回、経団連の代表が外務省に対し、パスポートの姓がビジネスネームと異なる場合や旧姓併記をしている場合に、入国審査や訪問先のセキュリティチェックなどでトラブルが多発していると説明したところ、外務省側が「パスポートの問題に関して、具体的な事例はあまり把握していなかった」と発言し、参加者は驚いたという。

岸田首相は消極姿勢

そもそもボールは本来、国会にあった。2015年、2021年の判決では、最高裁は合憲としつつも「国会で論ぜられ、判断されるべき」として議論を委ねていた。

1996年に法務省法制審議会で選択的夫婦別姓を導入する改正法案が準備されたものの、自民党を中心とした保守派議員が「家族の絆が危うくなる」として反対し、国会への提出には至らなかったという経緯もある。

岸田文雄首相は1月31日の衆議院本会議で「現在でも国民の間にさまざまな意見があることから、しっかりと議論し、より幅広い国民の理解を得る必要がある」と答弁するなど消極的な姿勢を見せている。

最高裁の判決が出るまで3~5年かかるとされるが、同姓しか認められていないことで不利益を被っている人々や、これから結婚を考える若者にとっても、法改正は待ったなしの状況だ。早急に選択的夫婦別姓の実現に向けた、具体的な議論を進めることが求められている。

田中 理瑛 東洋経済 記者

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たなか りえ / Rie Tanaka

北海道生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。ゲーム・玩具、コンテンツ、コンサル業界を担当。以前の担当は工作機械・産業用ロボット、医療機器、食品など。趣味は東洋武術。

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