経団連も動いた、夫婦別姓「第3次訴訟」で新展開 国を12人が提訴「日本以外の国は両立している」
経済界からも要望が強まっている。経団連の十倉雅和会長は2月の定例記者会見で「政府には、女性活躍や多様な働き方を推進する方策の一丁目一番地として、(選択的夫婦別姓制度の)導入を検討してほしい」と述べた。経団連会長が同制度について賛意を示したのは初めてだ。
経団連では、2017年頃からこの問題について内部での検討やヒアリングを実施していたが、政府が旧姓の通称利用を促していたことや、各企業の人事部門には当事者の声が届きにくい状況にあったことなどから、提言に向けた動きにはつながらなかった。
だが「コロナ禍を経て日本企業においても、多様な価値観や考え方を尊重し、全員が能力を発揮できる公正な環境を整えようとする意識が高まった」(経団連ソーシャル・コミュニケーション本部統括主幹の大山みこ氏)ことが後押しとなり、昨年末に正式に検討を開始した。
「(夫婦同姓のみを認める制度は)明らかに課題だというコンセンサスがある。選択肢のある社会にすることは、女性活躍の点だけでなく、イノベーションや新しい価値の創造のために不可欠」(大山氏)。経団連は2024年度上期にも詳細な論点を含めた提言を作成し、政府に提出する予定だ。
なぜ変わらないのか不思議
提訴当日の8日には、経団連や新経済連盟、経済同友会といった経済団体や、選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会が、法務省や外務省などを訪れ、要望書や経営者・役員による1000筆超の署名などを手渡した。
参議院議員会館で開かれた集会には与野党の議員も参加し、各団体から「経済界ではこんなのはすぐに変えようという声が多数だ。なぜ変わらないのか不思議でならない」(新経済連盟理事、LIFULL会長の井上高志氏)などの声が相次いだ。
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