感情表現で交渉や面接の結果を有益に変える方法 人間の話し合いは理性以外の要素も大きい

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次に、自分の表情ではなく、交渉相手の表情と交渉結果の関係を考えます。

結論から先に書きます。交渉相手の表情を識別する能力が高いほど、売買交渉における売り手は、利得を高めることができ、採用面接における面接官は、利得のパイを広げ、応募者とWin-Winの関係を築くことができる、ということがロールプレイによる実験からわかっています。

売買交渉の実験をすると…

最初に、売買交渉の実験を紹介します。実験参加者を架空の商品の売り手と買い手にわけます。交渉項目は、商品の価格、商品の輸送時期、商品に対する支払い時期、商品を取り付けるための工事要件の4つです。

これら項目から得られる利得は条件によって決まっており、一方が得をすれば一方は同じだけ損をするもの(例えば、商品の価格。売り手はなるべく高く売りたく、買い手はなるべく安く買いたい)、双方が同じ利得を共有できるもの、2つの項目の中で1つの項目は一方においてより重要であり、もう1つの項目はもう一方においてより重要であるもの、と設定されています。

売り手も買い手も、4項目についてなるべく多くの利得を得ることを目的にしています。この目的のもと、同意できる条件を探り、交渉します。交渉後、条件に応じて得られる利得が決まります。

また、交渉後、参加者の表情認識力を計測します。参加者に、42枚の表情写真を観てもらい、怒り・恐怖・嫌悪・幸福・中立・悲しみ・驚きの中から適切だと思う感情を選択してもらいます。正解数に応じて、表情認識力がわかります。

実験の結果、表情認識力の高い売り手は、交渉相手と協力し効率的に自身の利得を得ることができ、さらにより大きな割合の利得を得ることができたことがわかりました。買い手にも類似の現象がみられたものの、統計的には有意ではありませんでした。

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