なぜ日本経済はうまくいかないのか 原田泰著
日本がうまくいかないのは、間違ったことを一生懸命やっているからだ。政治家も官僚も識者も、自分に都合のいいようにしか考えない。つまらぬ資金配分や行政はやめて国は単純にカネをバラまくべきだ。地方にも企業にも個人にもカネを渡し(減税でもいい)それぞれの裁量で使うようにせよ。そうすれば消費も農業も教育も育児もうまく回り出す。大震災からの復興もバラまきでの対応が正しい。そう著者は主張する。
50の問題提起とその解明が最後まで小気味よく続く。特に政治が機能しない理由、役人の本質と使い方、国民の心理と消費行動といった切り口からの論考は明快で、歴史的でグローバルな視点と多彩なレトリックが楽しめる。雑誌寄稿を再構成したものだが、時間差が気にならないのは事の本質を突いた議論のせいだけでなく、日本に変化の兆しがまるで見られないからだろう。とすると、本書の寿命はまだ長いことになるのだろうか。(純)
新潮社 1260円
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