この年の彼は近畿大学の理系3学部、武蔵大学、前年も合格した法政大学も2学部で合格し、なんと受験前半は6勝0敗という快進撃を続けます。
しかし、毎年着実にステップアップしていた彼にとって、この一般入試で最大の合格目標に置いていたのは早慶でした。
「このまま早慶でも奇跡が起きてくれないかな、と願っていました」
慶應のキャンパスに入って涙を流した
そして、破竹の勢いそのままについに早慶の入試シーズンを迎えます。ずっと憧れていた慶應のキャンパス……。そこに入ったえぐざまさんは、長年の思いを抑えられず、思わずポロポロと泣き始めたそうです。
「たしかに今まで何度も早慶を受験してきたけれど、世間的に言えば記念受験とみなされるレベルでした。ですが、今年はきちんとここまで全勝して、MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)に受かって、ほかの受験生と同じスタートラインに立って、互角に戦う権利をもって会場に入れたんです。これまでずっと学歴的に不遇な人生を歩み続けていた27年間の思いが、我慢しきれなかったのです」
これまでの人生と、今の自分の姿を見比べて、涙を流したえぐざまさん。ひとしきり泣いた後は、しっかり戦闘モードに切り替えることができ、百戦錬磨の受験生の顔に戻りました。
「この会場でいちばん多く受験をしてきたのは自分なんだ。過去には東大だって京大だって受けてきたんだから、このぐらいの緊張はどうってことない!」と自身を奮い立たせました。参加賞気分で受験していた今までとは一変し、27年間で初めての”死闘”といっても過言ではない戦いだったと言います。
こうして臨んだ慶應の大学受験は、まるで歯が立たなかったと感じたそうです。他大学での英語とは異なる難易度に、試験中も「ああダメだ、半分ぐらいしか長文の意味がわからない」と落胆しそうになりました。
しかしその一方で、今まで家庭教師と二人三脚で歩んできた日々の成果もあり、「どうだ、今の私は早慶の英語長文でも半分読めるんだぞ、もう昔の自分じゃない」と最後の最後までポジティブな精神を欠かさずに、時間終了まで試験問題に食らいつきました。他の科目も、今できる彼の精一杯を答案用紙に書き込んだようです。こうして、精神を消耗させた長い1日を全力を出し切って終了しました。
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