自閉症の人と自然に接してもらいたいという気持ちを込めて撮影しました--映画『海洋天堂』 シュエ・シャオルー監督

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 たとえば医療的な保障がなく、自閉症ということを診断されるまで医療費がすごくかかるが、補助や免除がない。またそうした医療的補助、福利厚生的補助も必要で、診断後でも専門的な訓練といったものを受ける必要があるのに、費用が免除されることはまったくありません。
 
 また、学校を出て成年に達したときに、たとえば親が年をとったり親が死んだりした後のその子の一生を保障する、養っていく施設が制度的に保障されていないので、非常に大きな問題になっています。

--日本でも障害のある人たちの就職口がない、という話をよく聞きますが、中国でも同じですか。

大きな問題としてあります。

--実際に親御さんがいなくなったという状況になったときには、残された子どもというのはどうなってしまうのでしょうか。

両親に万が一のことがあった場合に子どもたちが向き合う問題というのは、今回の映画にも出てきますが、結局親以外の親戚に頼るとか、親の友人、善意のある人が養っていくとか、そういった好意にすがるしかない。
 
 もっと経済的に困難な場合は、福利厚生施設が引き受けることもあるが、受け入れられることができる施設が少ない。たまたま運がよければ引き取ってもらえる、というのが現状です。

国の政策というか、制度が不完全であるというのが1つ。もう1つは、特に自閉症の施設がすべて民間であるため、施設によって良しあしの差が結構出てくる。経営が困難となって倒産する施設も多い。自閉症の人が長期にわたって安定して預かってもらえる場所というのがやはりなかなか保証されないという問題があります。

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