自閉症の人と自然に接してもらいたいという気持ちを込めて撮影しました--映画『海洋天堂』 シュエ・シャオルー監督

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■中国映画も急激な商業化が進んでいる

--中国映画界について。中国映画は、国際的な賞を受賞するなど、世界的にも認められてきています。今後の可能性についてどう考えていますか。

それは1980年代後期の話で、国際的な賞は最近あまりとっていません。最近中国映画が賞をとらないのは、商業映画化の傾向があるからです。それは中国の映画市場と大きな関係があって、中国映画界は興行収入がものすごく増え、毎年約20%伸びている。去年はついに100億人民元を超えた。
 
 この数字が物語るのは、それだけ中国映画界全体が商業映画への要求が強く、そうした作品を非常に期待していることだと思います。投資規模も大きくて大宣伝をしているような作品がマーケットのほとんどを支配している状態です。

--日本もそうですが、芸術的な映画が脅かされているのでしょうか。

それでもアート映画とか文芸映画はつくられています。映画市場全体が拡大しているので、そうした映画も昔に比べれば多くなっているが、比率的には少なくなっています。また、やはりそういう映画が映画館にかけられても、観客が少ないのですぐに上映が終わってしまう。つまりすごくいい映画であってもなかなか観客の目に触れることがない。観客自身もどうしても大作とか娯楽作品を選ぶので、なかなか見てもらえない状況にあります。

シュエ・シャオルー(薛 暁路)
 1992年まで、北京電影学院 映画・文学学科に在籍、96年まで、同学院の修士課程で脚本と映画理論を学ぶ。98年、オーストラリア・シドニー工科大学でMBAを取得。中国中央電視台(CCTV)の教育番組制作センターでディレクターを経て、2003年より現在まで、北京電影学院文学学科の副教授として修士指導教官を務める。映画脚本作品に『北京ヴァイオリン』『北京の恋-四郎探母』(04年)など。『海洋天堂』で映画監督デビューし、第13回上海国際映画祭メディア賞部門にて作品賞と新人監督賞を受賞。

脚本・監督:シュエ・シャオルー/出演:ジェット・リー、ウェン・ジャン、グイ・ルンメイ/製作:ビル・コン/撮影:クリストファー・ドイル/音楽:久石譲/2010年/98分/中国/中国語/35mm/カラー/ヴィスタ/DOLBY-SR、SRD/原題:海洋天堂/提供:クレストインターナショナル、NHKエンタープライズ/配給:クレストインターナショナル
(C)2010, Nice Select Limited. All Rights Reserved.

(宇都宮 徹 撮影:田所千代美 =東洋経済オンライン)

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